基礎知識
動画公開と肖像権の基本|顔をぼかすかどうかの判断の目安
撮った動画を公開するとき、映っている人の顔をそのまま出してよいのかは判断に迷うところです。 このページでは、肖像権と個人情報という2つの考え方を整理し、 ぼかすかどうかを決めるときの目安をまとめます。
※ このページは一般的な考え方の整理であり、法的な助言ではありません。個別の事情による判断が必要な場合は専門家にご相談ください。
実際の仕上がり
同じ動画を Obscura で処理した例です。人物が動いても、ぼかしが顔に追従します。
サンプル動画は音声なしで自動再生・ループします。素材提供: 動画AC
肖像権とは
肖像権は、みだりに自分の姿を撮影されたり、撮影されたものを公表されたりしない利益を指します。 「肖像権法」という法律があるわけではなく、裁判例の積み重ねによって人格権の一つとして認められてきた権利です。
そのため、何が侵害にあたるかは一律には決まりません。実際の判断では、次のような事情が総合的に考慮されます。
- 写り方:大きく長く写っているか、群衆の一部として一瞬写っただけか
- 場所:公道や公共の場か、自宅や施設内のような私的な空間か
- 公開の範囲:誰でも見られるインターネット上か、関係者限りか
- 目的と必要性:その人を写す必要があったか
- 本人の意思:撮影・公開について同意があったか
ここから分かるのは、「公道だから自由」でも「写ったら全部アウト」でもないということです。 判断に幅がある以上、迷う写り方なら顔を隠しておくほうが結果的に手間がかかりません。
個人情報としての顔
肖像権とは別に、個人情報保護法の観点もあります。 映像から特定の個人を識別できる場合、その映像は個人情報として扱われます。 顔がはっきり写っていれば識別できるのが通常ですので、個人情報を含む前提で考えるのが安全です。
事業者が個人情報を第三者に提供する場合、原則として本人の同意が必要とされています。 ホームページやSNSへの掲載は、不特定多数が見られる状態に置く行為ですので、 社内やグループ内での共有とは扱いが変わります。
個人情報保護委員会は、施設が利用者の写真を機関誌やホームページに掲載する場面について、 第三者の閲覧に供するときは本人の同意が必要という考え方を示しています。 動画も同じ考え方が当てはまります。
「ぼかせば大丈夫」と言い切れない場合
顔を誰であるか分からない程度に処理できていれば、その映像から個人を識別することはできなくなります。 これが、顔をぼかすことが有効な理由です。ただし、次の場合は注意が必要です。
- 名札・氏名の表示が残っている:胸の名札、机の席札、画面上のテロップなど、顔以外に名前が出ていれば識別できてしまいます。
- 写っている人が限られている:少人数の職場や教室など、「その場にいた人」がもともと分かる状況では、顔を隠しても誰かが推測されることがあります。
- 音声に名前が入っている:呼びかけの声で名前が分かることがあります。顔ぼかしでは音声は変わりません。
- 処理の漏れ:途中のカットだけぼかし忘れる、後ろを歩く人を見落とすといった漏れが、実際には最も多い原因です。
顔をぼかすことは有効な手段ですが、顔以外の手がかりもあわせて確認することが前提になります。
撮影の同意と、公開の同意は別
現場でよく行き違いが起きるのがここです。 撮ってよいと言われたことが、インターネットで公開してよいという意味とは限りません。
同意を得るときは、次の点まで伝えておくと後から揉めにくくなります。
- どこに公開するか(自社サイト、YouTube、SNS、配布物など)
- 誰が見られる状態になるか(限定公開か、誰でも見られるか)
- どれくらいの期間、公開し続けるか
- あとから取り下げを希望できるか、その連絡先
子どもが写る場合は、本人ではなく保護者の同意を得るのが基本です。 行事の動画のように大人数が写る場面では全員分を揃えるのが難しいため、 同意が得られた人以外の顔をぼかすという進め方が現実的です。
判断の目安
次のいずれかに当てはまるなら、公開前に顔をぼかしておくと安全側に倒せます。
- 同意を取っていない人が、特定できる形で写っている
- 誰でも見られる場所(サイト・SNS・動画サイト)に公開する
- 写っている人数が多く、全員の同意を確認しきれない
- 子どもが写っている
- 撮影場所が私的な空間(自宅・施設内・教室など)である
- あとから「消してほしい」と言われたときに、対応が難しい形で公開する
逆に、関係者だけが見る限定公開で、写っている全員から公開の同意を得ているのであれば、 そのまま公開しても問題になりにくい場面といえます。
全員の顔を自動でぼかす
Obscuraは、アップロードした動画からAIが顔を検出し、輪郭に沿ったやわらかいぼかしをかけます。 映っている人を一人ずつ指定する必要がありませんので、 人数が多い行事の動画でも、見落としが起きにくくなります。
正面顔だけでなく横顔にも対応し、フレームをまたいで顔を追従します。音声はそのまま残り、 動画編集ソフトは不要で、ブラウザだけで完結します。
なお、ぼかす対象は人の顔だけです。名札や表札、書類の氏名といった文字情報は対象になりませんので、 上で挙げた「顔以外の手がかり」は別途ご確認ください。
よくある質問
肖像権とはどのような権利ですか?
みだりに自分の容ぼうを撮影されたり、撮影された写真や映像を公表されたりしない利益のことです。肖像権という名前の法律があるわけではなく、裁判例の積み重ねによって人格権の一つとして認められてきた権利です。侵害にあたるかどうかは、撮影された場所、写り方、公開の範囲や目的などを総合して判断されます。
顔が写った動画は個人情報にあたりますか?
その映像から特定の個人を識別できる場合、個人情報保護法上の個人情報として扱われます。顔がはっきり写っていれば識別できるのが通常ですので、個人情報として扱う前提で考えるのが安全です。
顔をぼかせば個人情報ではなくなりますか?
誰であるか分からない程度に処理できていれば、その映像から個人を識別することはできなくなります。ただし、名札や氏名の表示、限られた人しかいない場面など、ほかの情報と合わせれば分かってしまう場合は、依然として個人を識別できる状態と評価されることがあります。顔以外の手がかりもあわせて確認してください。
街中で撮影した動画に通行人が写り込むのは問題になりますか?
写り込みそのものが直ちに違法になるわけではありません。問題になりやすいのは、特定の人が大きく長く写っている、その人が中心の映像になっている、公開の範囲が広い、といった場合です。判断に迷う写り方であれば、顔をぼかしてから公開するのが確実です。
撮影するときに同意をもらっていれば公開もできますか?
撮影への同意と公開への同意は別のものとして考えます。撮ってよいと言われたことが、インターネットで公開してよいという意味とは限りません。同意を得るときは、どこに、どの範囲で公開するのかまで伝えておくと行き違いが起きにくくなります。
子どもが写っている動画はどう扱えばよいですか?
本人ではなく保護者の同意を得るのが基本です。学校や園の行事のように大人数が写る場面では、全員分の同意を揃えるのが難しいこともあります。その場合は、同意が得られた人以外の顔をぼかしてから公開するという方法があります。
※ 掲載内容は一般的な整理であり、法的な助言ではありません。実際の判断は個別の事情によって変わります。 判断に迷う場合や、トラブルが生じている場合は、弁護士等の専門家にご相談ください。
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